起動不良の NEC製 Windows 11 搭載 PC の中からリカバリ用ファイルを抽出して手動で回復ドライブ(回復メディア)を作成したので備忘録。
これにより、回復ドライブを作成しそびれた、起動不良、リカバリ(再セットアップ)も実行できない、などといった際にも対処ができる場合があります。
おそらく Windows 10 でも同様かとは思われますが、確証はありませんので参考までに。
1.作業用の別 PC で、Windows 11/10 回復ドライブを作成
作業用の別 PC で、リカバリ対象 PC に搭載されているバージョンの Windows の回復ドライブを作成します。
容量は大きめ(16GB、32GB、64GBなど、ケースバイケース)が良いです。
「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします。」チェックは外してドライブを作成します。チェックを入れてドライブを作成しても構いませんが、作業用 PC のシステムファイルをバックアップしてもしょうもないです。時間が長くかかるうえ、のちに「sources」フォルダ内は全削除しますので徒労に終わります。
2.フォルダー オプションで、以下の2つを実施
エクスプローラーで、「表示」タブを選択し、「オプション」をクリックします。「フォルダー オプション」が表示されます。「表示」タブをクリックします。
「ファイルとフォルダーの表示」で、「隠しファイル、隠しフォルダー、および隠しドライブを表示する」のラジオボタンにチェックを入れます。
「保護されたオペレーティング システム ファイルを表示しない (推奨)」のチェックを外します。
3.「Recovery」フォルダ内のアクセス許可の変更
少し前までの PC では、リカバリ(再セットアップ)に要するファイルはリカバリパーティション(隠しパーティション)に格納されておりましたが、 Windows 10/11 の PC では、システムドライブ直下の「Recovery」というフォルダに格納されています。
作業用 PC に、リカバリ用ファイルの抽出元となるHDD/SSD(ストレージ)を接続します。隠しフォルダを表示させると、抽出元となるストレージにおけるCドライブ直下に「Recovery」というフォルダが現れますが、これをそのままダブルクリックしても「(ドライブレター):\Recovery にアクセスできません。アクセスが拒否されました。」となります。これはこのフォルダへのアクセス許可がないためであるので、このアクセス許可を取得します。
3-1.設定のためのウィンドウの表示
「Recovery」フォルダを右クリックして、「プロパティ」を選択します。「Recoveryのプロパティ」ウィンドウが表示されます。
「セキュリティ」タブを選択して、「詳細設定(V)」をクリックします。これにより、「Recovery のセキュリティの詳細設定」ウィンドウが表示されます。
3-2.「所有者」の変更
「子オブジェクトのアクセス許可エントリすべてを、このオブジェクトからの継承可能なアクセス許可エントリで置き換える(P)」にチェックを入れ、「適用(A)」をクリックします。
「所有者:現在の所有者を表示できません。」と表示されているところの隣の「変更(C)」をクリックします。
「選択するオブジェクト名を入力してください」の欄に、自身のアカウント名(ローカルアカウントの場合、名前そのもの。Microsoft アカウントの場合、アカウントとして使用しているメールアドレス?)を入力します。
「サブコンテナーとオブジェクトの所有者を置き換える」にチェックを入れます。
3-3.アクセス許可の変更
「追加(D)」をクリック。「Recovery のアクセス許可エントリ」ウィンドウが表示されます。
「プリンシパルの選択」をクリック。「ユーザー または グループ の選択」ウィンドウが表示されます。
「選択するオブジェクト名を入力してください」欄に自身のアカウント名を入力。「OK」をクリックします。
「基本のアクセス許可」欄の「フル コントロール」にチェックを入れ、「OK」をクリックします。
「Recovery のセキュリティの詳細設定」ウィンドウの「OK」ボタンを押し、ウィンドウを閉じます。
これで「Recovery」フォルダにアクセスできるようになりました。
4.回復パーティションの表示
先にリカバリに要するファイルは「Recovery」フォルダに格納されていると書きましたが、回復に要するファイルは他にも「回復」パーティションにも存在します。それを抽出するための準備をします。「DiskPart」を使用して回復パーティションを表示させます。
4-1.抽出元ストレージのディスク番号の確認
抽出元ストレージを接続した作業用 PC の「ディスクの管理」で、その接続したストレージのディスク番号を確認します。
4-2.回復パーティションの表示
コマンドプロンプトで「diskpart」と入力し、Enterを押下するとDiskPartが起動します。デスクトップ左下のタスクバーの検索窓に「diskpart」と入力してDiskPartを起動させてもOK。
「select disk (ディスク番号)」と入力し、Enter。「(ディスク番号)」のところには、先に確認した抽出元ストレージのディスク番号を入力します。例えば、ディスクの管理上で抽出元ストレージが「ディスク 1」と表示されていたら、DiskPart上で「Select disk 1」と入力し、Enter押下。
「list partition」と入力し、Enter。パーティションの一覧が表示されますので、回復パーティションの場所(番号)を確認します。
「select partition (パーティション番号)」と入力し、Enter。これにより回復パーティションが選択されます。
「assign letter=(適当なドライブレター)」と入力し、Enter。「(適当なドライブレター)」のところには、作業用PCで現在使用されていないドライブレターをひとつ選び、入力します。例えば、回復パーティションに「R」というドライブレターを割り当てるとすると「assign letter=r」と入力し、Enter押下。
ここまでの作業で、エクスプローラー上で回復パーティションが表示されるようになります。
回復パーティションが2つ以上表示された場合には、上記作業を何度か繰り返し、適切なパーティションを見つけます。
5.抽出元ストレージにおけるCドライブ内「Recovery」フォルダ内のファイル・フォルダを回復ドライブにコピー
抽出元ストレージにおけるCドライブ内の「Recovery」フォルダ内に「OEM」というフォルダがありますが、その中のファイル・フォルダをすべて先に作成した回復ドライブ内の「sources」フォルダ内にコピーします。
青帯のかかっている部分がOEMフォルダ内のファイル・フォルダ。黒帯は気にしない
6.抽出元ストレージ回復パーティション内のフォルダ内のファイル・フォルダを回復ドライブにコピー
抽出元ストレージの中の、先の手順4によりアクセス可能となった回復パーティション「WinRE_DRV」(モデルによって名前が異なるかも)内の「Recovery」→「WindowsRe」フォルダ内に「boot.sdi」、「ReAgent.xml」、「ReCustomization.xml」、「winre.wim」というファイルがありますが、それらをすべて先に作成した回復ドライブ内の「sources」フォルダ内にコピーします。
この「Recovery」フォルダにもアクセス許可を与える必要がありますので、先の手順3をもとに作業したうえで行います。
青帯のかかっている部分がWindowsRE_DRVフォルダ内のファイル・フォルダ
7.「winre.wim」を「boot.wim」にリネーム
回復パーティションからは「winre.wim」というファイルがコピーされますが、これをこのままにしてもリカバリは実行できません。これのファイル名を「boot.wim」に変更します。
これで回復ドライブが作成されました。
何かの参考になれば。
【2024/11/01:新規投稿】