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【まえがき】
およそ3年弱ぶりの更新。なんてこった。
ばたばたしているのにかまけて更新をサボっていたのですが、今回は数日間にわたってドハマりした作業だったので、書かずにはいられませんでした。ダラダラ書き連ねていますが、お付き合いいただけましたら幸いです。
【要約/Summary】
本稿では、QNAP 社製 NAS のファームウェアリカバリ後の手動更新時、「Cannot write: No space left on device」「System update failed. Firmware failed to extract. Error code: FW006」エラーが生じた際にそれを回避することに成功した事例を扱っています。
具体的には、更新をかけたいファームウェアの img ファイルを入れていた USB フラッシュメモリ内に HDA_ROOT/update フォルダを作成し、それに /mnt/update シンボリックリンクを作成することにより上記現象を回避し手動更新に成功しました。
This post explains a way to avoid the “No space left on device” and “System update failed. Firmware failed to extract. Error code: FW006” errors that can occur when updating QNAP NAS firmware manually.
I solved these errors by creating a “HDA_ROOT/update” folder in the USB flash containing the firmware IMG file for update, and then creating a “/mnt/update” symbolic link to that folder.
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毎度のお約束ではありますが、これから記載する記事・情報は あくまで一事例であり、全ての同様の状況において効果的である、もしくは、情報に再現性のある保証はありません。 同様の現象を抱えており、以下情報をもとにお試しになる方は「うまくいったらラッキー」程度にお考えください。 また、意図しない結果となった場合にも当方は一切の責任を負いかねますので、自己責任でお願いいたします。とりわけ、本稿は NAS を取り扱うもので、作業により重要なデータの損失が発生する恐れもあります。十分にご留意ください。
【背景】
QNAP 社製の NAS である「TS-673」が入庫しました。
正確には、Alexon 社の提供している NAS 「Cloud Shelter CS-5000 (NAS-673eG)」です。
元々導入されているファームウェアを QNAP 社のそれに書き換えることにより何かと使い勝手がよくなるため、Cloud Shelter 入庫時にはよくファームウェアの書き換えを行っています。元のファームウェアのままでは Qfinder Pro から見えるもののそこから更新ができないため、手動で更新を行います。更新手順はこちら。
Manually Updating Firmware – QNAPedia -QNAP Wiki
今回もいつも通り、手動更新を行うべくこのコに電源ケーブルと LAN ケーブルとをつなぎ、 Qfinder Pro を起動し、SSH 接続を行うために IP アドレスを確認しようとすると…あれ、Qfinder Pro 上に出てこない。通電はしている。フロントパネル LCD は…元々ないのか?この機種。外部モニタに出力させようと背面を見るも、標準では VGA も HDMI も何もない (後々調べてみたら、そもそも本機マザーボードに組み込まれているCPU、AMD RX-421ND はGPU非搭載なんですね)。
幸い拡張スロットがあるのでそこに手持ちのグラフィックボードを搭載。モニタに映す。BIOSセットアップユーティリティ起動。
なるほど、内部 USB DOM 取り外されているね、これ。
まじか。
QNAP NAS の場合、マザーボードの USB ポートに直付けされる Disk-On-Module の内部にファームウェアが格納されます。これがなければ何も始まらん。しかし、こういう時のために以前、別の機種から USB DOM を取り外して保管しておいたのだ!
ついに日の目をみるときが来たぞと得意げに記憶媒体を保管している棚を見るも…ない!あれ?ここ以外に置くことなんてないんだけど。どこだ?
その後、さんざん心当たりの場所を捜索するも、出てこず。えぇー。絶対あるはずだし、処分するなんて絶対にないはずなんだけど (ストレージって、なんか、こう、好きなんです)。
…
探している時間ももったいなく感じてきた。しょうがないから、手持ちのUSBフラッシュメモリを内部に突っ込むことにしました。いや別に内部じゃなくてもいいんだけど。なんとなく。
本機は内部に USB Aポートがないため、元々 USB DOM の挿さっていた箇所に直付けすることに。
USB ピンヘッダから USB Aポートへ変換するコネクタはもちあわせていなかったため、USB 延長ケーブルとジャンパワイヤとを合わせて作りました。
で、こうする、と。
フロントパネルに挿さっている USB フラッシュについては後に触れます
QNAP Wiki に「Firmware Recovery」というページがあるので、それをもとにファームウェアを再導入することに。この中にはあいにくお目当ての「TS-673」の項目はないものの、本体内部のマザーボードに「TVS-X73 MB」の記載があるので、それを参照しました。
Cloud Shelter CS-5000 NAS-673eG のマザーボード型番は「TVS-X73」
というわけでようやく、正真正銘空っぽの QNAP NAS を復旧させるスタートラインに立ったのですが、なかなかどうして、一筋縄ではいかなかったんですよ。
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